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百人一首の恋の歌 43首~片思い・会えない夜・失恋…気持ち別に意味を解説~

百人一首の恋の歌 43首~片思い・会えない夜・失恋…気持ち別に意味を解説~ あそび紹介!
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百人一首を読んでいると、「恋」「逢ふ」「忍ぶ」といった言葉がとてもよく出てきます。

それもそのはずで、百人一首の100首のうち、43首が恋の歌です。
春・夏・秋・冬の季節の歌を全部合わせても恋の歌より少ないので、百人一首でいちばん多いテーマは「恋」なんです。

この記事では、恋の歌43首を「どんな気持ちの歌か」で4つに分けて、1首ずつ意味をやさしく紹介します。

この記事がオススメな人!

・百人一首の恋の歌をまとめて知りたい人
・テストや宿題で、歌の意味を調べている小学生・中学生
・子どもに歌の意味を聞かれて、うまく説明したい親

うちは子どもが4人いて、家で百人一首やかるた遊びをしています。

百人一首の遊び方は、こちらにまとめています。

百人一首の遊び方まとめ|坊主めくり・かるた・競技かるたを解説
百人一首の代表的な遊び方3つ(坊主めくり・散らし取り・競技かるた)をルール付きで解説。子どもから大人まで、初めてでも分かりやすく百人一首を楽しめます。
この記事を書いた人は・・・

生まれも育ちも愛知県の名古屋市在住の30代会社員!

中学生・小学生2人・保育園児の4人の子どもの父親

趣味は子どもと愛知の遊び場をまわる事♪

  1. 百人一首の恋の歌 43首の一覧
  2. 会いたいのに会えない恋の歌(13首)
    1. 3番 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む
    2. 18番 住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ
    3. 19番 難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや
    4. 20番 わびぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ
    5. 21番 今来むと言ひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな
    6. 25番 名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな
    7. 53番 嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る
    8. 56番 あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな
    9. 59番 やすらはで寝なましものをさ夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな
    10. 63番 今はただ思ひ絶えなむとばかりを 人づてならで言ふよしもがな
    11. 77番 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
    12. 85番 夜もすがらもの思ふころは明けやらで 閨のひまさへつれなかりけり
    13. 97番 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ
  3. ひみつの恋・片思いの歌(12首)
    1. 13番 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる
    2. 14番 陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに
    3. 27番 みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ
    4. 39番 浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋しき
    5. 40番 しのぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで
    6. 41番 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか
    7. 46番 由良のとを渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋の道かな
    8. 49番 みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ
    9. 51番 かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを
    10. 88番 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき
    11. 89番 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする
    12. 92番 わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし
  4. 会えたあとの気持ちの歌(7首)
    1. 30番 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし
    2. 43番 逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり
    3. 44番 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし
    4. 50番 君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな
    5. 52番 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほうらめしき朝ぼらけかな
    6. 54番 忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな
    7. 80番 長からむ心も知らず黒髪の 乱れて今朝はものをこそ思へ
  5. つらい恋・失恋の歌(11首)
    1. 38番 忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな
    2. 42番 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは
    3. 45番 あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたづらになりぬべきかな
    4. 48番 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな
    5. 58番 有馬山猪名の笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする
    6. 65番 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ
    7. 72番 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ
    8. 74番 憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを
    9. 82番 思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり
    10. 86番 嘆けとて月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな
    11. 90番 見せばやな雄島のあまの袖だにも ぬれにぞぬれし色は変はらず
  6. まとめ|恋の歌は百人一首でいちばん多いテーマ

百人一首の恋の歌 43首の一覧

まずは43首を番号順にならべました。「気持ち」の列は、この記事での分け方です。

番号上の句作者気持ち
3あしびきの山鳥の尾のしだり尾の柿本人麻呂会いたいのに会えない
13筑波嶺の峰より落つるみなの川陽成院ひみつの恋
14陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに河原左大臣ひみつの恋
18住の江の岸に寄る波よるさへや藤原敏行朝臣会いたいのに会えない
19難波潟短き蘆のふしの間も伊勢会いたいのに会えない
20わびぬれば今はた同じ難波なる元良親王会いたいのに会えない
21今来むと言ひしばかりに長月の素性法師会いたいのに会えない
25名にし負はば逢坂山のさねかづら三条右大臣会いたいのに会えない
27みかの原わきて流るるいづみ川中納言兼輔ひみつの恋
30有明のつれなく見えし別れより壬生忠岑会えたあとの気持ち
38忘らるる身をば思はず誓ひてし右近つらい恋・失恋
39浅茅生の小野の篠原しのぶれど参議等ひみつの恋
40しのぶれど色に出でにけりわが恋は平兼盛ひみつの恋
41恋すてふわが名はまだき立ちにけり壬生忠見ひみつの恋
42契りきなかたみに袖をしぼりつつ清原元輔つらい恋・失恋
43逢ひ見ての後の心にくらぶれば権中納言敦忠会えたあとの気持ち
44逢ふことの絶えてしなくはなかなかに中納言朝忠会えたあとの気持ち
45あはれともいふべき人は思ほえで謙徳公つらい恋・失恋
46由良のとを渡る舟人かぢを絶え曾禰好忠ひみつの恋
48風をいたみ岩うつ波のおのれのみ源重之つらい恋・失恋
49みかきもり衛士のたく火の夜は燃え大中臣能宣朝臣ひみつの恋
50君がため惜しからざりし命さへ藤原義孝会えたあとの気持ち
51かくとだにえやはいぶきのさしも草藤原実方朝臣ひみつの恋
52明けぬれば暮るるものとは知りながら藤原道信朝臣会えたあとの気持ち
53嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は右大将道綱母会いたいのに会えない
54忘れじの行く末まではかたければ儀同三司母会えたあとの気持ち
56あらざらむこの世のほかの思ひ出に和泉式部会いたいのに会えない
58有馬山猪名の笹原風吹けば大弐三位つらい恋・失恋
59やすらはで寝なましものをさ夜ふけて赤染衛門会いたいのに会えない
63今はただ思ひ絶えなむとばかりを左京大夫道雅会いたいのに会えない
65恨みわびほさぬ袖だにあるものを相模つらい恋・失恋
72音に聞く高師の浜のあだ波は祐子内親王家紀伊つらい恋・失恋
74憂かりける人を初瀬の山おろしよ源俊頼朝臣つらい恋・失恋
77瀬をはやみ岩にせかるる滝川の崇徳院会いたいのに会えない
80長からむ心も知らず黒髪の待賢門院堀河会えたあとの気持ち
82思ひわびさても命はあるものを道因法師つらい恋・失恋
85夜もすがらもの思ふころは明けやらで俊恵法師会いたいのに会えない
86嘆けとて月やはものを思はする西行法師つらい恋・失恋
88難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ皇嘉門院別当ひみつの恋
89玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば式子内親王ひみつの恋
90見せばやな雄島のあまの袖だにも殷富門院大輔つらい恋・失恋
92わが袖は潮干に見えぬ沖の石の二条院讃岐ひみつの恋
97来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに権中納言定家会いたいのに会えない

全100首を番号順に見たいときは、こちらの一覧をどうぞ。

百人一首 一覧|全100首を歌番号順にわかりやすくまとめました
百人一首の全100首を歌番号順に一覧表でまとめました。上の句・下の句・歌人がひと目でわかるので、暗記や予習にも使えます。
アイちゃん
アイちゃん

想いを歌にするなんて

昔の人は素敵ね♪

会いたいのに会えない恋の歌(13首)

いちばん多いのが、「会いたいのに会えない」「待っているのに来ない」という歌です。
平安時代は、男の人が女の人の家をたずねるのがふつうだったので、女の人は待つしかないことが多かったんですね。

3番 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む

作者:柿本人麻呂

【意味】
山鳥の、長くたれ下がった尾のように長い長い夜を、私は恋しい人に会えないまま、ひとりで寝るのだろうか。

「の」が何回も続いて、夜の長さがそのまま伝わってくる歌です。
声に出すとリズムがよくて、覚えやすい1首です。

18番 住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ

作者:藤原敏行朝臣

【意味】
住の江の岸に寄せる波の「よる」ではないけれど、夜に見る夢の中でさえ、あなたはどうして人目をさけて、会いに来てくれないのだろう。

昔は「夢に好きな人が出てくるのは、相手が自分を思ってくれているから」と考えられていました。
夢にも出てきてくれない、というさみしい歌です。

19番 難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや

作者:伊勢

【意味】
難波潟に生えている蘆の、節と節の間のような、ほんの短い時間さえも会わないまま、一生を過ごせとあなたは言うのですか。

20番 わびぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ

作者:元良親王

【意味】
こんなに思い悩んでしまったら、今となってはもうどうなっても同じこと。難波の「みをつくし」のように、この身をほろぼしてでも、あなたに会いたい。

「みをつくし」は、海で船の通り道を知らせる目印のくいのことです。
それと「身を尽くし(命をかけて)」を重ねています。88番にも同じ「みをつくし」が出てきます。

21番 今来むと言ひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな

作者:素性法師

【意味】
「すぐに行くよ」とあなたが言ったから、秋の長い夜をずっと待ち続けて、とうとう明け方の月が出るまで待ってしまった。

作者はお坊さん(男の人)ですが、待っている女の人の立場になって詠んだ歌です。

25番 名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな

作者:三条右大臣

【意味】
「逢う」という名前を持つ逢坂山のさねかずら。そのつるをたぐり寄せるように、誰にも知られずに、あなたのところへ行く方法があればいいのに。

53番 嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る

作者:右大将道綱母

【意味】
あなたが来ないのを嘆きながら、ひとりで寝る夜が明けるまでの時間が、どれほど長いものか、あなたは知っていますか。きっと知らないでしょうね。

作者は『蜻蛉日記』を書いた人です。

56番 あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな

作者:和泉式部

【意味】
私はもうすぐ、この世からいなくなってしまうでしょう。あの世へ持っていく思い出に、せめてもう一度だけ、あなたに会いたい。

病気で寝こんでいたときに詠んだ歌だといわれています。
和泉式部については、こちらの記事でくわしく書いています。

百人一首に出てくる和泉式部ってどんな人?和歌の意味や代表作は?
百人一首の和歌のひとつを歌っている和泉式部。優れた女流歌人として有名な彼女ですが、恋多き女性としても有名です。和泉式部がどんな女性だったのかや百人一首に選ばれた彼女の和歌の解説、他にどんな作品があるかなどご紹介しています。ぜひご覧ください!

59番 やすらはで寝なましものをさ夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな

作者:赤染衛門

【意味】
来ないとわかっていたら、ためらわずに寝てしまえばよかった。あなたを待っているうちに夜がふけて、月が西にかたむくまで見てしまいました。

63番 今はただ思ひ絶えなむとばかりを 人づてならで言ふよしもがな

作者:左京大夫道雅

【意味】
今はもう、あなたのことはあきらめます。せめてその一言だけでも、人に頼むのではなく、直接あなたに伝える方法があればいいのに。

身分の高い女の人との恋を、まわりに反対されて会えなくなったときの歌です。

77番 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ

作者:崇徳院

【意味】
流れが速くて、岩にぶつかって二つに分かれた川の水も、また先で一つになる。そのように、今は離ればなれでも、いつかきっとまたあなたに会おうと思う。

会えない歌の中では、めずらしく前向きな歌です。

85番 夜もすがらもの思ふころは明けやらで 閨のひまさへつれなかりけり

作者:俊恵法師

【意味】
来ない人を思って、ひと晩じゅう悩んでいるこのごろは、なかなか夜が明けなくて、寝室の戸のすき間まで、冷たくそっけなく思える。

21番と同じく、お坊さんが女の人の立場で詠んだ歌です。

97番 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ

作者:権中納言定家

【意味】
いくら待っても来ない人を待っている私は、まつほの浦で夕方に焼かれる藻塩のように、身がこげるほど恋しく思っている。

「まつ」は、地名の「松帆」と「待つ」を重ねています。
作者の藤原定家は、百人一首の100首を選んだ人です。自分の歌も1首入れているんですね。

ひみつの恋・片思いの歌(12首)

好きだと言えない、誰にも知られたくない、という歌です。
昔の歌では、こういう恋を「忍ぶ恋」と言います。

13番 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる

作者:陽成院

【意味】
筑波山の峰から流れ落ちるみなの川が、だんだん深い淵になっていくように、私の恋心も積もり積もって、こんなに深くなってしまった。

14番 陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに

作者:河原左大臣

【意味】
陸奥の「しのぶもじずり」という布の、乱れた模様のように、私の心は乱れています。誰のせいで乱れはじめたのでしょう。私のせいではありません。あなたのせいなのに。

27番 みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ

作者:中納言兼輔

【意味】
みかの原をわけて流れるいずみ川の「いつみ」ではないけれど、いつ会ったというわけでもないのに、どうしてこんなに恋しいのだろう。

まだ会ったこともない人に恋をしている歌です。
昔は、うわさを聞いただけで好きになることもあったそうです。

39番 浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋しき

作者:参議等

【意味】
浅茅が生えている野原の篠竹の「しの」のように、がまんして気持ちを隠しているけれど、隠しきれない。どうしてこんなにあの人が恋しいのだろう。

40番 しのぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで

作者:平兼盛

【意味】
隠していたのに、顔に出てしまっていたようだ、私の恋は。「何か悩んでいるの?」と人に聞かれるほどに。

41番 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか

作者:壬生忠見

【意味】
「あの人は恋をしているらしい」という私のうわさが、もう広まってしまった。誰にも知られないように、心の中で思いはじめたばかりだったのに。

40番と41番は、天皇の前で行われた歌合(歌の勝負)で、同じ「忍ぶ恋」というお題で戦った2首です。
勝ったのは40番の平兼盛でした。
並べて覚えると、番号も内容もセットで覚えられます。

46番 由良のとを渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋の道かな

作者:曾禰好忠

【意味】
由良の海峡をわたる船頭が、かじをなくして、どこへ流されるかわからないように、この先どうなるのかわからない、私の恋の道だなあ。

49番 みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ

作者:大中臣能宣朝臣

【意味】
宮中の門を守る兵士のたくかがり火が、夜は燃えて昼は消えるように、私の恋心も、夜は燃え上がり、昼は消えそうなほど沈みこんで、悩み続けている。

51番 かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを

作者:藤原実方朝臣

【意味】
こんなに好きだということさえ言えないのだから、伊吹山のさしも草のように燃えているこの思いを、あなたはそれほどだとは知らないでしょうね。

「さしも草」は、お灸に使うもぐさのことです。もぐさが燃えるように、恋心が燃えているんですね。

88番 難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき

作者:皇嘉門院別当

【意味】
難波の入り江の蘆の、短い「ひとふし」のように、旅先でたった一晩会っただけなのに、私はこの身をかけて、ずっと恋し続けることになるのでしょうか。

20番と同じ「みをつくし」が出てきます。

89番 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする

作者:式子内親王

【意味】
私の命よ、終わるなら終わってしまいなさい。このまま生きていたら、恋心を隠す力が弱って、人に知られてしまうかもしれないから。

92番 わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし

作者:二条院讃岐

【意味】
私の袖は、潮が引いても見えない沖の石のようです。誰も知らないけれど、涙でかわくひまもありません。

この歌が評判になって、作者は「沖の石の讃岐」と呼ばれたそうです。

会えたあとの気持ちの歌(7首)

会えたらうれしいだけ、ではないのが平安時代の恋の歌です。
朝の別れがつらい、会ったらもっと苦しくなった、という歌が集まっています。

30番 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし

作者:壬生忠岑

【意味】
明け方の月がそっけなく見えた、あの冷たい別れの日から、夜明け前ほどつらいものはない。

43番 逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり

作者:権中納言敦忠

【意味】
あなたに会ってからの今の気持ちにくらべたら、会う前の悩みなんて、何も悩んでいなかったのと同じだった。

44番 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし

作者:中納言朝忠

【意味】
もし、会うということがまったくなかったなら、かえって、あの人のことも自分のことも、恨んだりしなかっただろうに。

50番 君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな

作者:藤原義孝

【意味】
あなたに会うためなら惜しくないと思っていた命なのに、会えた今は、できるだけ長く生きたいと思うようになった。

作者は、21歳という若さで亡くなっています。それを知って読むと、少しせつなくなる歌です。

52番 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほうらめしき朝ぼらけかな

作者:藤原道信朝臣

【意味】
夜が明ければ、また日が暮れて会えるとわかっている。それでもやっぱり、別れの夜明けはうらめしい。

54番 忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな

作者:儀同三司母

【意味】
「ずっと忘れないよ」というあなたの言葉が、遠い先まで続くのはむずかしいでしょう。だから、幸せな今日を最後に、命が終わってしまえばいいのに。

80番 長からむ心も知らず黒髪の 乱れて今朝はものをこそ思へ

作者:待賢門院堀河

【意味】
「ずっと変わらない」というあなたの心が本当かどうかわからなくて、黒髪が乱れるように、今朝の私の心は乱れて、悩んでいます。

つらい恋・失恋の歌(11首)

相手が冷たい、心変わりされた、ふられた、という歌です。
中には、言い寄ってきた相手をきっぱり断る歌もあります。

38番 忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな

作者:右近

【意味】
あなたに忘れられてしまう私のことはいいのです。ただ、「ずっと好きだ」と神様に誓ったあなたが、ばちが当たって命を落とすのではないかと、それが惜しい。

心配しているようにも、皮肉を言っているようにも読める歌です。

42番 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは

作者:清原元輔

【意味】
約束しましたよね。おたがいに涙でぬれた袖をしぼりながら、「末の松山を波が越えることがないように、二人の心も変わらない」と。

作者は、清少納言のお父さんです。

百人一首に出てくる清少納言ってどんな人?和歌の意味や代表作は?
百人一首にいる何人もの歌人の中でも、有名な女性歌人のひとりである「清少納言」。源氏物語の作者である紫式部のライバルとも称される彼女はどんな人物なのかご存じでしょうか?今回は清少納言はどんな人なのかや代表作、百人一首の歌の意味をご紹介します!

45番 あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたづらになりぬべきかな

作者:謙徳公

【意味】
「かわいそうに」と言ってくれそうな人も思いうかばないまま、私はこのまま、むなしく死んでしまうのだろうか。

48番 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな

作者:源重之

【意味】
風が強くて、岩に打ちつける波が自分だけくだけ散るように、相手は平気なのに、私だけが心をくだいて悩んでいるこのごろだ。

58番 有馬山猪名の笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする

作者:大弐三位

【意味】
有馬山の近くの猪名の笹原に風が吹くと、笹が「そよそよ」と鳴ります。そうよ、心変わりしたのはあなたのほう。私があなたを忘れたりするものですか。

作者は、紫式部の娘です。

百人一首に出てくる紫式部ってどんな人?和歌の意味や代表作は?
百人一首の百人の歌人の中には、世界的にも有名な人物がいます。紫式部もその一人で彼女の「源氏物語」はあまりにも有名で、世界最古の長編小説とも言われています。作者の紫式部とは果たしてどんな人物なのか?百人一首の歌の意味は?他の代表作は?そんな疑問にお答えしています。

65番 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ

作者:相模

【意味】
あの人を恨んで嘆いて、涙でかわかない袖さえ、ぼろぼろになりそうでくやしいのに、この恋のうわさで、私の評判まで落ちてしまうのがくやしい。

72番 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ

作者:祐子内親王家紀伊

【意味】
うわさに聞く高師の浜の、むやみに立つ波のような、浮気なあなたの言葉は、心にかけないでおきます。あとで涙で袖がぬれるといけませんから。

言い寄ってきた男の人に、きっぱり断りの返事をした歌です。
恋の歌の中では、ちょっと強気でかっこいい1首です。

74番 憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを

作者:源俊頼朝臣

【意味】
冷たいあの人が、私を好きになってくれるようにと、初瀬の観音様に祈ったのに。初瀬の山から吹きおろす風よ、お前のように、もっと冷たくなってほしいとは祈らなかったのに。

82番 思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり

作者:道因法師

【意味】
つらい恋に悩んでも、それでも命はまだ続いているのに、つらさにたえきれずに流れてしまうのは、涙だった。

86番 嘆けとて月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな

作者:西行法師

【意味】
「嘆け」と言って、月が私を悩ませているのだろうか。いや、そうではない。恋のせいなのに、まるで月のせいだと言いたそうな顔をして、私の涙は流れてくる。

90番 見せばやな雄島のあまの袖だにも ぬれにぞぬれし色は変はらず

作者:殷富門院大輔

【意味】
あなたに見せたいものです。雄島の漁師の袖でさえ、どんなにぬれても色は変わらないのに、私の袖は、涙で色まで変わってしまいました。

まとめ|恋の歌は百人一首でいちばん多いテーマ

百人一首の恋の歌43首を、4つの気持ちに分けて紹介しました。

・会いたいのに会えない歌(13首)
・ひみつの恋・片思いの歌(12首)
・会えたあとの気持ちの歌(7首)
・つらい恋・失恋の歌(11首)

100首のうち43首が恋の歌なので、恋の歌がわかると、百人一首のほぼ半分がわかることになります。
「待つ」「忍ぶ」「袖がぬれる(=泣いている)」など、よく出てくる言葉に気づくと、知らない歌でも意味が想像しやすくなります。

百人一首の意味をマンガで楽しく知りたいなら、この本がわかりやすいです。


テストの前に、歌を覚えたか確かめたいときは、無料のプリント作成ツールも使ってみてください。

百人一首プリント作成ツール|ランダムテストを無料で印刷
百人一首の穴埋めテストを、ランダムに作って無料で印刷できるツールです。上の句・下の句の出題、春夏秋冬の範囲指定、ひらがな表示(小学生向け)、答えページつき。

季節の歌も、それぞれまとめています。

家でかるたをするなら、子ども向けのかるたの選び方も参考にしてください。

子ども向け百人一首かるたの選び方|小学生・中学生におすすめの5選【初心者〜競技入門】
子ども向けの百人一首かるたを、年齢や遊び方別に5つ紹介します。はじめての1セットにドラえもん版、学校で使う五色、競技かるた用の公認札、英語つきまで。4人の子の父が、家で遊んだ経験をもとに選び方をまとめました。

以上「百人一首の恋の歌 43首~片思い・会えない夜・失恋…気持ち別に意味を解説~」でした!

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